五本の輪ゴムで
売ってるおもちゃはもちろん、好き。それはそうだ、大の大人が一生懸命考えて製品化した企業努力の結晶だもの。あんなおもちゃもこんなおもちゃも子供心をくすぐってつかんで離さない。
それとは別に、たった五本の輪ゴムでもずっと遊べるのが子供なんだな…と、感心した。私は薬の束を輪ゴムで束ねている。それをいつも欲しがるので、五本まとめて渡してみたら。ずっと遊んで、大切にしまって、翌日もまた遊ぶ。輪ゴム「で」遊ぶし、輪ゴムを友達に見立てて、輪ゴムと「一緒に」遊ぶ。空き箱にゴムをギターの弦のように張って鳴らしてみせたら、大喜びだった。
そうだったね、思い出したよ。私も輪ゴム大好きだったよ。
おままごとセットがなくても、ブロックでお皿とコップをつくって、遊ぶんだね。
レンゲを拝借して、フライ返しを拝借して鍋をかき混ぜる真似をして「いま、ごはんつくってるの」
ぬいぐるみも人形も、みんな生きてるお友達。
お世話をして、かわいがって、順番をゆずって、一緒に遊ぶ。
どんな世界が見えているんだろう。
それはさすがにすっかり忘れてしまったな。